「主、茶をお持ちいたしました。休憩にいたしましょう。」
「ありがとう長谷部。」
「いつでも俺を頼ってくださいね。あまり根を詰めてお体を壊されないかと心配です・・・・。主にはいつまでも健やかでいてほしいですから。」
主は俺と目を合わせると例によって照れて顔を手で覆ってしまった。
「長谷部…あのさあ…私チョロいからこう・・・・顔の良い男から優しくされると、勘違いしてしまいそうになるから・・・・やめて・・・・。」
「ははは、別に構いませんよ。」
勘違いだなんて。事実俺は主のことをいつも思っていますからね、と続けようとしたが、その前に主は腹を踏まれた蛙のような声を出して真っ赤になってしまったので、可哀そうで後に言葉は続かなかった。
(長谷部は優しいな・・・・。こんな不純なことばかり考えている私にも・・・・。いくら何でも自分の持ち主から恋愛対象として見られていたら、気持ち悪いとか思わないのかな?刀の価値観ってわかんないなあ・・・・。)
主は察しが悪くていらっしゃるな。
昨日の主のお言葉を思い返して心配になってきた。刀剣男士は美しく顕現し、その殆どが審神者に対して優しいではないか!実際主を思慕している男士もいるだろう。鈍いくせに、こうも御しやすいと不安だ。一つ釘を刺しておくか。
「主。」
「うん?なに長谷部」
答えつつ口に団子を頬張った主に対して俺は言った。
「主は優しくて見目好い男なら誰でも自分に好意があると思ってしまうのですか」
主は喉に団子を詰まらせてしまった。チアノーゼ寸前の主に茶を差し出した。
「・・・・!?ッそんなことは・・・・!?」
「いけませんよ。刀剣男士は美しく、主に優しいかもしれませんが、そうあるのが本質ですから。」
「流石にそこまで思い上がってはいないよ!?ちゃんと弁えてるからね!?というか私が昨日変なこと言ったからだよねごめんね!?」
(やっぱりいくら刀でも心があるんだもんね!勘違いされたら不快だよね!最悪だ・・・・。)
穴があったら入りたい、という様子の主を見て俺は満足した。もし俺以外の刀から思いを寄せられていることにお気づきになって、結ばれてしまっては困る。困る?いや、俺は主の幸せを願っているのだから、主が幸せならそれで…。待て、俺以上に主を大切にできる刀も人もいないだろう。やはり困る。
(ごめんね長谷部・・・・。わたしが勝手に長谷部のこと好きになっちゃっただけだから・・・・・長谷部は何も悪くない。)
なぜだか主は悲しそうな顔をしていた。
了
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